こんにちは。ヴィヴィアンです。
前回↓は解雇について労働者側に立って書いてみました。なぜか途中から裁判官の悪口になっていきましたけど(笑)。
今回は、病気になったり、疲弊してしまったり、なんかいろいろイヤになってしまったりして会社を退職する場合に知っておきたいことについて書こうと思います。
うわぁぁぁぁ~!もうイヤだ~!!こんな会社辞めてやるぅ~!!!って思って突発的に辞めてしまう人もいると思いますが、ちょっと待ってください!!!これの記事を読んで知恵をつけてからにしてください!
少し前に、若い医師の方が長時間労働の末に自殺されたことが報道されました。おそらく当時鬱状態だったのではないかと推測されます。最近、精神疾患で休職したり退職する労働者が増えていると聞きます。誰でも病気はしますし、労働環境が悪ければ誰でも精神疾患に罹患する可能性があります。病気になった時等、色々と利用できる公的な制度や会社の制度があるのですが、意外とみんな知らないんですよね。
人事でも医療機関でも教えてくれないことが多いようです。ですから自分で調べるしかないのですが、本当に弱っていると調べる気力なんかないですし、頭回らないですし、そもそもなにかしらの救済制度があるなんて思いつかないと思うんです。本当に弱っている人や困っている人ほど救済されにくい仕組みになっているんですよね。
ずいぶん前の話ですが、私の知り合いが、ある日突然会社を辞めて住んでいたマンションも引き払って行方をくらましてしまったことがあります。その後1,2年の間ホームレス生活を送っていたようです。後でわかったことですが、彼は会社を辞めたころ、鬱状態だったそうなんですね。ですが、傷病手当金も労災の休業補償給付も失業手当も何も受け取っていませんでした。
もったいない話です。必要な手続きを踏んで色々な制度をうまく利用すれば、かなりの金額がもらえたかもしれなかったのに。。加えて、国民健康保険料も大幅な減額を受けられたり、年金も免除になったはずなんですよね。
以下、制度だけでなく退職の手続きの際のちょっとした困りごとなども含めてポイントというかヒントだけ簡単に書いていきます。詳細は社労士さんのサイトや厚労省などのサイト、法律事務所のサイトなどをご覧になっていただければと思います。現在病気をしていない人、退職を考えていない人でも知っておくとどこかで役に立つと思いますし、もし、周りに困っていそうな人がいたら是非教えてあげてください。
目次:
- 退職の連絡はメールでもOK(退職願等の提出は不要)
- 誓約書や秘密保持誓約書等は提出不要
- 有給休暇やその他利用できる休暇を使い切る
- 未払い残業代や長時間労働があった場合は、労働時間についての証拠を取っておく
- 気になるところがあれば退職前に医療機関を受診しておく
- そもそも退職すべきなのか?休職制度の利用も検討してみる
- 退職日をいつにするか慎重に検討する
退職の連絡はメールでもOK(退職願等の提出は不要)
メールでなくてもよいですが証拠が残る形で伝える方が良いです。簡単に辞められそうにない、会社とトラブルになりそうな場合には証拠に残しておきましょう。また、多くの会社では退職願又は退職届の提出が求められると思いますが、出さなくても辞められます。
ちなみに、退職代行のサービスを提供する会社がありますが、弁護士資格のない人が退職代行をするのは非弁行為(=弁護士法違反)では?と言われていますしトラブル防止のために、できるならば、法律事務所に依頼する方が良いとは思います。
誓約書や秘密保持誓約書等は提出不要
提出義務はありませんので拒否できます。労働者側に不利な内容になっているので出さないほうが良いです。出さなくても辞められます。弁護士に内容をチェックしてもらってもよいと思います。
有給休暇やその他利用できる休暇を使い切る
会社によっては、病気の場合などに法定の有給休暇以外にも使える(有給又は無給の)休暇制度があったりするので、人事に問い合わせたり就業規則などで事前に確認して、使える休暇はすべて使ってから辞めましょう。
未払い残業代や長時間労働があった場合は、労働時間についての証拠を取っておく
これ、めちゃくちゃ大事ですね!
・未払い残業代請求のため
退職時には未払いの残業代を請求するつもりがなくても、退職後に気が変わる可能性もありますので、念のため証拠を取っておくとよいと思います。管理職だから残業代をもらえないというのはウソです。
・労災申請や損害賠償請求のため
残業代をもらっていた場合でも、長時間労働により何らかの疾患に罹患したとして労災の申請や損害賠償請求するときに備えて労働時間の証拠を残しておくとよいです。
・離職票の離職理由のため
会社が正当理由のない自己都合退職(4D)としていても、ハローワークに長時間労働があったことを証拠で示して異議申し立てすれば、離職理由を会社都合にしてもらえることがあります。また、病気により退職した場合も正当理由のある自己都合退職にしてもらえることがあるのでハローワークに申し出てください。詳細は別途他のサイトをご覧になってください。
ここで、離職理由に関して、長時間労働というと何時間くらいをイメージされますか?100時間~200時間くらいをイメージされる方が多いと思うのですが、45時間以上の時間外労働をしているようであれば、離職理由を会社都合にできる場合がありますし、時間外労働の計算の仕方も色々あるようですので、きっちり45時間超えてなくてもとりあえず、証拠を取っておくとよいです。(労災は別です)
また、上司から残業をつけないように言われていていたり、何らかの事情で残業時間を全てつけていない人もいると思いますが、なるべく実際の勤務時間が分かる証拠を取っておきましょう。
気になるところがあれば退職前に医療機関を受診しておく
傷病手当金などの受給のためです。(けがや病気があることが前提です)
また、先ほども触れましたが離職理由にも影響する場合があります。離職理由は失業手当の待機期間や受給日数、国民健康保険料等にかかわってきますので非常に重要です。特定受給資格者及び特定理由離職者という言葉だけでも知っておきましょう。これらに該当すると待機期間が短くなったり、受給期間が長くなったり、国民健康保険料が安くなったりする場合があります。
ちょっと調子が悪いなと思っても時間がなくて退職後にゆっくり医者に診てもらおうと考えている人もいると思います。が、在職中は気が張っているので本人の自覚があまりないだけで、実はうつ病だったりとか、何らかの重大な疾患に罹患していた、ということもありうるわけです。発症したのが在職中でも退職後の診察で発覚したとなると、傷病手当金の対象にはなりませんので、気になるところがあれば退職の前に病院に行って医師の診察を受けてください。(退職の意思を会社に伝える前に病院に行くことをお勧めします)
傷病手当金や労災の休業補償を受給するには要件を満たす必要があるので、他のサイトで確認しておきましょう。
不眠、食欲不振、イライラする、集中力低下、抑うつ、やる気が起きない、体がだるい、希死念慮、頭痛、めまい、嘔吐、吐き気、腰痛、性欲減退、仕事がはかどらない、頭が回らない、ネガティブ思考、よく泣く、風呂に入る頻度が減った、家事をあまりしなくなった、人と話したくない、外出がおっくうなどの症状がある場合や違和感がある場合などは、退職前に心療内科に行きましょう!
心療内科の初診の予約は数か月待ちのところもあり、なかなか取れなくなってきていますので、早め早めに行動する方が良いです。本当に悪くなると動けなくなりますから、まだ少し元気が残っているときに探して予約を取っておきましょう。
といってはみても、実は本人はなかなか自覚できないのが難しいところなんですよね。本人はまだまだ大丈夫、まだ頑張れる、ちょっと疲れているだけと思っているんですよ。なので、周りが気付いてあげられたらよいのですが。最近は職場の人間関係も希薄ですし、1人暮らしの方も多いですし、1人で追い込まれてしまいがちです。自分は強いし大丈夫と思っていても、長時間勤務や色々なストレスでだれでもうつ病などの疾患に罹患する可能性があるんですね。そして、本当にヤバくなってしまったときには、もはや病院に行く気力すら沸かなくなっていたり、心療内科の初診の予約がとれなかったりという事態になりかねないのです。
お金のことについて、いざというときに役に立ちますので、ぼんやりとでもよいですから覚えておきましょう。
・傷病手当金:業務外に起因する病気やケガにより就労不能になり仕事を休んで給与が支払われない場合に健康保険から支給されます。(退職後も受給OK)
・労災の休業補償給付:業務上に起因する病気やケガにより就労不能になり仕事を休んで給与が支払われない場合に労災保険から支給されます。(退職後も受給OK)(療養補償給付等もあります)
・失業手当:これはみなさんご存じだと思いますが、就労可能で仕事を探している場合に雇用保険から支給されます。(雇用保険の傷病手当もあります)
そもそも退職すべきなのか?休職制度の利用も検討してみる
そもそも「今」退職するのが妥当なのかの検討も必要です。休職制度の利用を考えてみてもよいでしょう。
会社によっては病気療養等のためだけでなく、留学やスキルアップのための休職を認めているところもあります。
まず、通常は、有給休暇等の休暇を使い、取れる休暇を使い終わったら(復職したときのためにあえて残す人もいるようです)、欠勤扱いになり、一定期間欠勤が続くと、休職制度を利用する、というのが一般的な流れとなっています。どれくらいの期間休職できるかは会社によりますし、また、勤続年数により異なる場合があります。休暇、欠勤、休職制度等については就業規則にそれぞれ記載がありますので確認しておきましょう。
なお、在職していれば、傷病手当金の付加金が給付されたり、給付期間が延長されたり、賞与ももらえる場合がありますので、経済的には退職よりも欠勤や休職して在職している方が安心だと思います。
退職日をいつにするか慎重に検討する
失業手当は加入期間により支給の有無や受給期間に違いが出てくることがあります。
また、有給休暇の付与のタイミングも大事です。例えば、4月1日に有休が新たに付与されることになっている場合、3月末で辞めるのはもったいないですよね。新たに付与された有休をパァ~と全部使いまくって辞めるというのもアリですよね。遠慮する必要はないです。
年金や健康保険との関係では月末の退職が良いかどうかも検討が必要です。(そんなに神経質になる必要はないと思いますが、収入によっては結構違ってきますからね)また、任意継続保険に加入するかどうかの検討も忘れずに。
できれば賞与もきっちりもらって辞めたいですよね。いつの時点で在職している従業員に賞与が支給されるのか確認しておきましょう。
ざっと、こんなところでしょうか。他にもあるかもしれません。気になるところがあれば、ググってみてください。色々役立つ情報が出ているかもしれません。
今回書いたことは本来ならば、社会に出る前に学校で教えておくべきだと思うんですけどね。