ジョブハンティング! 弁護士、派遣、社畜、銀座ホステス、いろいろやってみた。

元派遣、氷河期世代かつ団塊ジュニアの弁護士が外資系や大中小企業など40社以上で働いた経験をもとに、氷河期世代を取り巻く諸問題、40代派遣・フリーターから正社員へのステップアップのコツ、日々思ったことなどを綴っていきます。

なぜ沈黙するのか?女子学生の就職氷河期

皆さま、大!変!ご無沙汰しております。ヴィヴィアンです。

暖かく過ごしやすい季節になりました。この時季大好きです。もう少しでゴールデンウィークですね。大した予定もないのに不思議とワクワクします(笑)。

 

相当前になりますが(笑)前回↓は、会社がしんどい時のためのヒントについて書きました。

vivien-moriya.hatenablog.com

今回は、女子学生にとっての就職氷河期について書きたいと思います。最近下火になりつつありますが、就職氷河期が大変だったという話は様々なメディアで取り上げられ、もうお腹いっぱいの人も多いと思います。ただ、以前から気になるのは、ネット記事もヤフコメもほとんどが男性中心に書かれていることです。

 

男女雇用機会均等法が施行され、その後、バブルも後押しして、総合職として就職する大卒女子が増えつつあったときに、突然のバブル崩壊で、手のひらを返したように企業が女性総合職を採用しなくなったのです。とりわけ多くの大企業の女性総合職枠は、特殊ルートからの採用を除きほとんどゼロだと言われていました。

 

今だったら、外資金融でも大手商社でもどこでも入れるような非の打ちどころのない女子学生たちがお茶くみ一般職かブラック企業やシステム会社(現在のIT企業ですが、昔は超絶ブラックでした)等の総合職に就職したり、就職せずフラフラしていた人もいました。

もちろん、これ旧帝や早慶女子たちもですよ。

やっと総合職でヘンな会社に就職できても、周りは自分よりもずっとランクが下の大学卒の男性や高卒・専門卒・短大卒の人たちばかりだったはずです。良く分かんない苦労が多かったでしょう(笑)。

今では考えられない露骨な女性差別ですが、当時一流企業が中心となって女子学生の締め出しにかじを切ったのでした。

 

今ではコンプラだのSDGsだの人権だのと声高に叫んでいる一流企業がこういったことを恥ずかしげもなくやっていたわけです。そして、不当に排除した被害者の女性たちを現在もなお、中途採用の場面において差別し、締め出し、傷口をえぐるような暴言を吐き続けています。

 

なんで就職しなかったの?なんですぐに会社辞めてるの?どうせ長続きしないでしょ、何で転職回数が多いの?どうせすぐ辞めるでしょ、なんで●●●なんかに就職したの?何でもうちょっとまともな企業に就職しなかったの?なんで非正規だったの?一流企業の正社員になれなかったアナタに何ができるの?非正規ばかりで楽して生きてきたのにうちの会社でやっていけるの?仕事できないから非正規だったんでしょ?どうせお茶くみ程度の仕事しかできないんでしょ。派遣なんかやってたあなたに何ができるの?まともに仕事できるわけないでしょ。

 

どの口が言ってんだよ!おめぇらのせいじゃねぇかよ!節操なさすぎなんだよ!

 

この世代の大卒女子たちは職歴が微妙な人もいると思います。転職活動の際に罵詈雑言を浴びることもあるのではないでしょうか。私は正社員だけでなく派遣の面接ですらいろいろ言われましたから。

 

女子学生の方が数百倍、数千倍、男子学生よりも比べ物にならないほど大変だったにもかかわらず、当時女子学生だった女性たちの声、苦しみがほとんど聞こえてきません。

 

なぜなのでしょうか?私は散々苦しんできました。弁護士になってキャリアを積んで高いスキルを獲得してもなお、氷河期によって、女性差別によって大きく傷つけられた自分の経歴をバカにされたり罵られたりしたことは数えきれません。書類選考だって簡単には通りません。(と言っても私の場合、弁護士資格に対する嫉妬や妬みで、立派な経歴だったとしても落とされるかも)

女性ということに加え、経歴から安く見られてしまうため、入社後も、周りの何倍も働かされ周りよりもずっと低い給与です。

 

他の私と同世代の大卒女性たちは、いま、どこで何をしているのだろうか?なぜ沈黙しているのだろうか?と前から気になっていました。

 

そんなわけで、彼女たちが沈黙する理由について考えてみたいと思います。

ちなみに、最近「なんちゃって氷河期世代」が増殖しているようなのですが、ストレートの四大卒の場合、氷河期世代はちょうどアラフィフの人たちになりますね。ストレート大卒アラフォー諸君、氷河期のせいにするのはやめようね。

①そもそも氷河期のあおりを受けた総合職志望の女子学生が少なかった

 当時の女性の大学進学率は20%前後だそうです(調べました)。まぁ、少数派ですね。(といっても、20万人前後ですけど。。(笑)) しかも、当時の女子学生は男性社員の補助をするような一般職としての就職を希望する人も少なくありませんでした。そんなご時世ですから総合職にこだわっていた女子学生はおそらく半数、つまり女性全体の10%もいなかったと思います。

 

加えて、当時、以下の事情がありましたしたから、一般公募のルートから総合職枠での就職を目指す女子はおそらく女性全体の5%もいなかったのではないでしょうか。

理系就職する人たちは推薦での就職が通常だった。

・当時四大に進学する女性はそこそこの家の人が多かったので、パパやおじい様、またはおじ様、兄弟等のコネで就職できた。

バイトやサークルを頑張って人脈を広げ独自のルート・コネで就職した。

公務員やその他の資格職に就いた。

 

以上、ヴィヴィアンの考察では氷河期当時、通常の選考ルートから総合職を目指す女子が女性全体の5%もいなかったのではないか、ということです。

どうりで、女性たちの怨嗟が聞こえないわけだ。でも、その5%もない女性たちも一切声を上げないのはどういうことか?アタシだけじゃねえか。

②総合職希望だったが、本音は永久就職希望

私の周りの総合職女子は、ほとんどこれでした。昼休みや仕事後の同僚との食事の席では、いつもといってよいほど、早く結婚して仕事辞めたい~!とか○○ちゃん、彼氏いるの?●●ちゃんの彼、東大卒なんだって!とかそんな話ばっかりでしたね。(マジで女子トークつまんなかったです)企業内でも女性差別は当然のようにありましたし、育児休暇なんてないに等しく、企業で女性が定年まで働くなんて聞いたことも見たこともありませんでしたから。

また、この世代の四大女子学生はお堅い家の人が多いため、考え方も封建的な人が意外と多いんですよ。結婚して家庭に入るのを理想と考えている人はそこそこいました。たいしてやる気もないのに四大卒のプライドがあってとりあえず総合職を目指しただけなんですよ。

 

つまり、キャリアについて意識低い系女子が多かったので、不当な扱いを受けても気にならないのでしょうし、結果的に現在は次の③のように経済的に他人に依存して生きている人が多いのでしょう。

③結果的に夫や親の経済力に依存して生きているのでどうでもいい

②と重なる部分も多いですが、これも結構いると思います。もともとはキャリア志向だった女子でも、社会の厳しさに自信を無くし、女性差別に失望し、まずまずの男性と結婚し夫の経済力に依存して生きている人も少なくありません。30年、25年くらい前の氷河期なんて、すっかり記憶のかなたなのでしょう。

 

ちなみに、夫の経済力に依存して生きているこの世代の女性は、むしろ女性差別の恩恵を受けていることになります。

なぜなら、この世代の女性の夫の経済力は女性の犠牲のもとに成り立っているからです。つまり、この世代の女性の夫は同じ氷河期世代やバブル世代のどちらかが多い。前者については、女性の犠牲のもとにあるわずかな就職先にぎりぎりで滑り込んだわけで、もし企業が女性を排除していなければ、男性にとっての氷河期はもっと悲惨なものになっていたはずです。後者については、氷河期というのは単なる不況というだけでなくバブルで採用しすぎた反動もあったわけで、つまり、バブル採用の出来の悪い社員を解雇できず、そのしわ寄せを一番に受けたのが総合職志望の女子学生と見ることもできるのです。

 

もし、氷河期に女子学生を排除していなかったら、バブル世代や氷河期男性の今の地位はなかったかもしれません。

けど、そんなこと、その妻は知ったこっちゃないよね。

④転職に成功したり会社が買収されたりして好待遇をゲット

総合職にこだわってブラック企業に就職したものの、その後、景気が上向いてきたときに転職に成功した人もいるでしょうね。特に女性は男性よりも身軽というか、転職に対するハードルが低いですから。ただ、あからさまな女性差別がまかり通っていた時代ですから、転職も今よりはるかに大変だったと思います。また、就職後、買収や合併等があって、あっという間に好待遇の大企業の一員になったという人もいるでしょう。大企業の子会社に入ってそこから親会社に運よく潜り込んだも人もいます。

⑤一流企業に一般職として就職して、その後総合職に転換できた

これも結構いるでしょうね。でも、ずいぶん皮肉な結果だなと思います。

仕事なんてやる気がなくて結婚相手探しに腰掛のつもりで一般職として就職したら、あれよあれよというまに一流企業の総合職に。かたや、仕事やる気があって総合職にこだわった女子たちは、ブラック企業に就職して人生詰んじゃったり、妥協できずにフリーターになったり。でも、何とか抜け出そうと転職活動すると、何でこんな会社に入ったの?●●大学出てるのに一流企業の正社員になれないなんてよっぽど出来が悪いんじゃないの?と言われる始末。人生って理不尽なことだらけです。

 

 

ざっとこんな感じでしょうか。

まとめると、もともと大卒女子自体が少数派であるうえ、キャリア志向の女子はほんの一部しかおらず、その一部の女子もコネを利用したり、運よくキャリアチェンジできたり、夫をとおして女性差別の恩恵を受けていたりと、氷河期の女性差別の影響で今も苦しんでいる人はほとんどいないということなのでしょう。(年齢的に、忙しかったり更年期だったりで氷河期を振り返る余裕なんてないという現実的な問題もありますけど)

 

だから、氷河期世代の女性たちは沈黙している、というより関心がない、ということなのだと思います。この世代の女性たちは、男性と違って働き続けることが当たり前ではなかったですし、良くも悪くも選択肢が多く、混沌とした世の中を柔軟にうまく切り抜けてきたのかもしれません。

 

またそのうち就職氷河期の再来があったら面白いことになりそうだなぁ、氷河期よ、来い!来い!若者よ、死ぬほど苦しめ!と思うのですが(笑)、人手不足の現状を考えると、私が生きているうちはないでしょうね。