ジョブハンティング! 弁護士、派遣、社畜、銀座ホステス、いろいろやってみた。

元派遣、氷河期世代かつ団塊ジュニアの弁護士が外資系や大中小企業など40社以上で働いた経験をもとに、氷河期世代を取り巻く諸問題、40代派遣・フリーターから正社員へのステップアップのコツ、日々思ったことなどを綴っていきます。

有給休暇についての誤解あれこれ

こんにちは。ヴィヴィアンです。

前回↓は管理職の残業代について説明しました。「管理職だから残業代をもらえない」というのはウソだというお話しでした。

vivien-moriya.hatenablog.com

今回は有給休暇についてです。

有休についてはネットである程度正確な情報が出回っているおかげで、それほど誤解は多くないように思うのですが、誤解している人はまだまだいるなぁと感じます。今回の記事は情報弱者向けですね。でも情報弱者がこのブログを読むのかっていう。。(笑)

分かりやすくするために正確性を犠牲にして、簡単な表現で簡単に書いたつもりです。

 

目次:

どんな人が有給休暇をもらえるのか

法律上一定の要件を満たせば「労働者」には有給休暇が与えられることになっています。パートやアルバイトも対象となります。もちろん派遣もですよ(派遣元から付与されます)。

雇用されていた「労働者」にもかかわらず、業務委託契約だから「労働者」には当たらないと会社に騙されて有給休暇をとらせてもらえなかったという事例を知っています。(ついでにこの方社会保険にも入らせてもらっていませんでした)労働者の無知に乗じてあれこれウソをついて有休を取らせないようにする会社はまだまだたくさんありますから注意してください。なんかおかしいな、と思ったら労基署等に確認するようにしてください。ただし、労基署に行ったことがきっかけで解雇された方を知っていますので慎重に行動するようにしてください。会社には労基署に行ったとか弁護士に相談したとか言わないほうが良いです。

 

ちなみに、雇用関係にない場合などでも「労働者」と認められる場合があり、「労働者」かどうかの判断は難しいケースもありますので、疑問に思ったら労基署などに確認してください。

いつ付与されるのか、何日付与されるのか

労働基準法に有給休暇の定めがありますが、労基法の定めはあくまでも最低の基準に過ぎませんので、この基準を下回らない範囲で各企業ごとに就業規則などで定められているはずです。

労基法では入社して半年間8割以上の出勤率の場合、入社半年後に10日(※フルタイムの場合)の付与が定められていますが、比較的大き目の会社では、半年たたずとも入社日に付与されることが多いように思います。付与日数も入社1年目から20日以上付与される会社もありますね。

 

今どき労基法で定められた最低の基準(半年後に10日間)しか付与しないって、なんかケチ臭い印象を受けます。もっとも、会社によっては法定の有給休暇以外にいろいろな休暇が定められている場合もあるので、有給休暇だけでは判断できない面もあるかもしれませんけど。

有休をとるのに上司の承認は不要

昔はよくある勘違いの一つでした。多くの会社で上司の承認が必要とされていましたよね。私も新卒で入った会社では、先輩方に根回しをした後に課長に申請を出して承認を得ることになっていました。よくこんな面倒くさいことやってたな、と思います。

 

有給休暇はいつでも好きな時に取ることができます。上司の許可とか承認といったものは不要です。

ただし、一つ、注意があります。会社には時季変更権というものがあり、その日に休まれると事業の正常な運営を妨げると考えられる場合には別の日にしてくれ、と言う権利があるのです。一般の従業員が休むことで事業の正常な運営を妨げられるって通常はないと思いますので、別の日にしてくれと言われたときは無視してよいです。。と言いたいところですが、周りとの関係性が悪くなったり実際にはなかなかそうもいかないですよね。。なので、そこはうまくやってください。

 

なお、退職する際に残っていた有休を消化する場合には、時季変更権の行使は無視でOKです。

 

先ほど触れた事案(労働審判事件)では、労働者の方は雇用関係にないから有休はないと騙されていたにもかかわらず、裁判官や労働審判員(なんのジョークか、労働者側の労働審判員だったんですよ。。(笑))が、有休は上司の承認が不要で自由にとることができるのだから勝手に取ればよかったじゃないか、有休を取れなかったのは労働者の自己責任だ、そもそも雇用関係にないと騙されるなんておかしい、そんなのネットで調べればウソだと分かることじゃないか、なんでネットで調べなかったんだ!と言い放ったのですよ。裁判所は、騙す方より騙されるほうが悪いとの考えのようです。仮に有休

があると分かっていたとしても、(事実上)「取れない」環境の会社なんていくらでもあるでしょうに。ある零細企業で働く知人は勤続30年だけどれも1日も有休をとったことがないし、取っている人を一人も見たことがない、会社で有休の話なんて恐ろしくてできない、と話していました。

 

裁判官も労働審判員(労働者側も含め)も一般庶民がどんな環境で働いているかなんて想像もつかないのでしょうね。

 

私も新人時代、有休をめぐってすったもんだがありました。ある月(超暇だった)に2日有休を取ろうとしたら、課長の承認を得たにもかかわらず、お局さんに夜の7時に食堂に来いと呼び出され、「アンタ、2日も有休取ろうなんて非常識もいいとこじゃない!どういう神経してんのよ!一日取り下げなさいよ!私はこの前の繁忙期のとき有休

取ってスキーに行きたかったのに行けなかったのよ!なのにアンタが有休取るなんて許せない!」と真顔でいわれたのです。スキーに行けなかったとか、んなもん知らねーよ!めんどくせぇ女だな、と思いながら、「1か月に2日以上有休をとってはいけないというルールがあるとは知りませんでした。それって、内輪のルールですよね。内輪のルールなんて新人の私が知るはずがないですよね。あまり一般的ではないルールですし、一般常識では判断できないのでそういうのは事前に教えるべきではないですか?教えないで上司の承認を得た後に文句を言うのはおかしいのでは?」と淡々と答えたら、「なんで分かってくれないの~!」と泣き出してしまったんですよ。誰もいない薄暗い食堂で1時間ほど拘束され、あれは強烈だったので今でも忘れません。

今でもこういうオカシイことを言う人いるんでしょうね。いや~ゾッとするぅぅ。

有休をとるのに理由を告げる必要はない

新人のころ、有休をとってバーゲンに行くんだ!という話を同期にしたら、その話がお局に伝わり、嫌味を言われたことがあります。もちろん、無視しました。有休をとるのに理由なんていりません。遊ぶのに有休を取ったって全然OKです。そもそも、理由を言う必要はないのです。聞かれても答える必要はありません。頭のおかしな上司が理由を聞いてくることがあるかもしれませんが、角を立てたくなければ適当にウソでもついておきましょう。

 

 

そういえば、2019年から年5日の有休の取得が義務付けられましたよね。零細企業やブラック企業で働く人たちはちゃんと有休を取ることができているでしょうか。さきほどの私の知人のように1日も取ったことがないという人も依然としているのではないでしょうか。また、義務付けられたところで業務量が減るわけではないし仕事がたまってしまいますから形式上有休をとったことにして、実際は働いている人もいるのではないでしょうか。

 

働き方改革だとかで大手企業はどんどん緩くなる(でも賃金はどんどん上がっていく)一方、中小企業やスタートアップ企業の労働環境はあまり改善していないように見えるんですけど。。ますます格差が広がっていくのではと危惧せずにはいられません。