ジョブハンティング! 弁護士、派遣、社畜、銀座ホステス、いろいろやってみた。

元派遣、氷河期世代かつ団塊ジュニアの弁護士が外資系や大中小企業など40社以上で働いた経験をもとに、氷河期世代を取り巻く諸問題、40代派遣・フリーターから正社員へのステップアップのコツ、日々思ったことなどを綴っていきます。

安倍元首相銃撃事件 山上容疑者に同情する人たちの不可解な思考回路(2)

こんにちは。ヴィヴィアンです。

いやぁ~、クソ暑い日が続きますね。

 

安倍元首相が銃撃されてから1か月が経ちました。

前回に引き続き安倍元首相銃撃事件についてです。

前回の記事はこちら↓です。

vivien-moriya.hatenablog.com

正直、安倍さんや政治、宗教には特別興味があるわけではないのですが、世間を騒がせるような事件についての世論の反応について以前から興味深く思っていたんですね。興味深いというよりは違和感があると言う方が正解かもしれません。

 

なぜかというと、マスコミが報道するごくわずかな情報、それも正しいかどうかわからない情報を根拠に激しく非難したり、または、異常なほど感情移入して同情的になってみたり。例えば、何の罪も犯していない某青年については、某青年と直接関係のないことを根拠としてこれでもかというほどの誹謗中傷を浴びせたかと思うと、全く無関係の一人の人間を殺した山上については、なんでも良いように解釈して異常なほど入れ込んでいる人が少なからずいます。

この反応の違いはいったい何なのだろう?と以前から思っていたんですよ。

 

まぁ、それはいいとして、山上容疑者の生い立ちがかなりクローズアップされています。かわいそうな生い立ちだから、こうなったのもしようがない。誰だって彼のような環境に生まれれば、同じことをするかもしれない、なんて言っている人たちがいます。

目次:

①山上容疑者は、そんなにかわいそうな生い立ちなのか?

私は週刊誌やワイドショーは見ないので詳しくは知らないのですが、ネットニュースに出ている情報のみからでは、彼の生い立ちに同情すべき点が特別多いようには見えないのです。つまり、良く分からないんですよ。

 

真偽はともかく、私が知っているのは、兄弟のおむつが汚れていたことがあった、父親が幼少期に自殺した、母親が宗教のようなもの(旧統一教会ではない)に入っていて頻繁に集まりに通っていた、兄弟に障害があった、食べ物がないと言って親戚に電話を掛けたことがあった、母親が兄を溺愛しており何でも買い与えていた、裕福な家に生まれた、親や親戚が高学歴、専門学校に進学(?)ということくらいでしょうか。

 

母親が破産したことや兄が自殺したのは大きくなってからの話ですから、彼の人生と直接関係はありません。そもそも破産者なんて、そこら中にいます。破産者より貧しい生活をしている人もそこら中にいますし、莫大な借金背負って破産できるのにしないで頑張って借金返している人もたくさんいます。

 

(兄が)おむつを替えてもらえなかったことについては、ある期間において毎日24時間ずっとなのか、それとも、わずかな期間、時間だけだったのか。

「子供のころ食べ物に困っていた」というのも、食べ物がないと言って親戚に電話をかけたとか冷蔵庫が空だったという事実しか分かっていません。電話した後親戚にお金なり食べ物なりをもらったと思うのですが、そうであれば、「食べ物に困っていた」というより「食べ物に困りそうになった」だけの可能性もあります。しかも、どれくらいの回数、どれくらいの期間、このようなことがあったのかも不明です。

また、生活に困窮していたという報道がある一方、母親が(兄に)何でも買い与えていたという報道もあり、子供のころについての経済状況は判然としません。親戚の援助で専門学校に進学したとの情報もありますが、本当に困窮していたら専門学校どころではありません。

母親が兄を特別にかわいがっていたというのも、昭和の親ならばえこひいきなんてあたりまえのことです。長男ですし、病気をして障害があるのですから。昭和の親なんて長男以外はどうなったっていいんですから(笑)!

 

逆に、容疑者の場合、一般の人よりも非常に恵まれた点が多くありますよね。

容疑者の世代では、家が裕福で親や親せきが高学歴というのは、人生において非常に大きなアドバンテージになったと思います。当時は一般家庭の人は、そもそも大学に行くという発想すらない人が多くいましたし、勉強する必要性に気付いている人も一部の人だけでした。彼はそれを当然認識できていました。とても幸せなことです。実際にかなわなかったとしても大学進学の可能性を検討できるような環境にいただけでも十分恵まれていたと言えます。女に学問など必要ないと言われて勉強させてもらえなかったとか進学できなかった女性なんて山ほどいますし。また、母親の信仰している宗教を悪いと認識できているようです。そういった判断力があることも彼の恵まれている点です。

 

専門学校に進学したと言われています。当時はバブルが崩壊したこともあり経済的な理由で大学に行けない人は多くいましたし、大学進学率も今よりも低かったですから、お金がないのに親戚のお金で専門学校に行けたのだったらめちゃくちゃラッキーだと思います。専門学校に行くお金があるんだったら国公立に行けたでしょうし私立だったら奨学金とアルバイトで進学できたのでは、とも思います。ボンボンゆえ、学歴は他人から与えられるもの、という意識が強すぎたのでしょうか。

 

父親の自殺や兄の障害などの問題があったとしても、昭和の時代は家庭内暴力やネグレクトを含む虐待など、どこの家でも色々な問題がありましたから、山上容疑者が同世代と比較してどんなふうにかわいそうなのか、報道からではまったく分かりません。

 

犯罪を犯す人の中には、誰が見ても本当に気の毒だなと思う人も少なからずいます。ですが、山上容疑者については、そういった事情が今のところ出てきていないのですよ。秋葉原事件の犯人については、かなり具体的な話が出てきていて、あれはひどいなぁと思いましたけど。

②誰でも山上容疑者のような事件を起こす可能性がある?

山上容疑者のような環境で育てば誰でも同じようなことをする可能性がある、なんてトンチンカンなことを言う人がいますが、マジで勘弁してくれよ!と思います。自分の人生がうまくいかないからって、一度も会ったことのない赤の他人を殺すなんて、そんな人そうそういませんよ!

 

殺人の多くは家族や親密な人間関係の中で起こります。これは確かに誰にでも起こりうると思います。親密な人間関係の中で、複雑な感情を抱くのは自然なことですし、カァッとなって思わず首を絞めて殺しまったなんてよく聞きます。ですが、安倍さんはそもそも知り合いでもなければ、簡単に会える人ではないですし、動機も安倍さんとは直接関係がありませんから、安倍さんを殺すまでの間には高い高いハードルがいくつもあったはずです。思いとどまる機会はいくらでもあったはずです。

にもかかわらず、実行してしまったわけです。どんなに生い立ちが不幸でも、こんなこと普通しませんよ。

 

しかも、山上が安倍さんの周囲の一般人たちを巻き込まないようにしていた旨の供述を根拠に、周りに配慮のできるいい人だ、とまで言う人がます。安倍さんは有名人だから殺されても仕方がないとでも?なんか、もう、めちゃくちゃですよね。

③山上はアタマがよいのか?幼稚なのか?SNS等の発言について

容疑者はアタマが良い、と考えている人も多くいるようです。確かに、報道内容からすれば勉強に抵抗はなさそうですが、アタマの方は何とも言えないなぁ。子供は母親の知性を引き継ぐと言われていますしね。

 

容疑者の書いた文章を素晴らしいと高く評価する人もいます。私の素直な感想は、中二病のような印象を受けました。10代の自己陶酔している精神的に未熟な男の子が書いたという印象ですね。文章そのものも特別うまいとは思いませんでした。知性も感じませんでした。感じたのは、独りよがり、精神的未熟さ、ナルシズム、プライドの高さ、などでしょうか。

 

弁護士の八代さんが、容疑者を幼稚とか何とか言って、ネット上で袋叩きにされていましたね。ご愁傷さまでございます。八代さんの決めつけるような口ぶりに反発を覚える人もいるかもしれませんが、まともな感覚を持った人間から見れば、八代さんの容疑者に対する評価は妥当なものに映ると思います。

④山上のように他人よりも苦労していると思っている人たち

彼の文章を読む限り、彼は自分が人よりも苦労してきたと思っているように見えます。面白いのは、彼に同情し擁護する人の中に、山上と同じように自分自身が他人よりも苦労してきたと思っている人が少なくないことです。要するに、山上と一部の擁護者たちは似た者同士ということです。似ているからこそ、山上と自分を重ねて見てしまうのではないかと思うんです。

 

これまでの私の経験では、自分で自分のことを人よりも不幸だとか、苦労したとか言っている人に限って、お得意の苦労話を聞いてみると、えっ?それだけ?それが苦労なの?不幸なの?他にはなんかないの?そんなの昭和世代の90%はみんな経験してるじゃん!そんなの日常茶飯事だったし!って思うことが多いんですよ。ですが、彼らは、決まって、私は人よりも苦労してきた、あなた(←私のこと)は何の苦労もなく楽な人生でいいよね、苦労してないから人間が薄っぺらいんだよ(←私のこと)、と判で押したように私に言うのです。

 

自分だけが苦労しているって、自分だけが不幸って、何を根拠に言っているんでしょうね。何をもって比較しているんでしょう?おぎゃあと生まれてから24時間張り付いて見ていたわけではない以上、他人の人生など分かるはずがないのにね。浅はかだなぁと思います。

 

人よりも苦労したとか不幸だとか言っている人たちを観察してみると、多くが親から「大事にされて」育ってきた傾向があることに気付きました。その「大事にされて」というのが、親が子供に対して必要以上に気を遣ったり遠慮したりして育ててきたようなんですね。要は親が子供のご機嫌取りのようなことをやってきたんですね。

 

ですから、我慢したり辛い思いをした経験が少なく、ストレス耐性が強化されず、普通の人にとっては何でもないことでも苦労だとか不幸だとか感じてしまうのではないかと思うのです。そのため、常に精神的な余裕もなく、周りが見えず、いつも自分のことばかりで精神的に未熟なまま大人になる。

 

ただし、山上が「大事にされて」育った人なのかどうかは分かりません。彼の生まれた家は、いわゆるエリート家系で人生のスタートが一般庶民よりも大きくリードしていたにもかかわらず、諸事情により一般庶民レベルの生活になり、その落差を受け入れられず、不幸に感じたのかも知れません。俺の人生、こんなはずじゃなかったと。あるいは、本当に、(まだ報道されていない)耐えがたい苦難を数えきれないほど経験したのかもしれません。

 

ちなみに、「大事にされて」育った人は、大事にされてきただけに物腰がやわらかかったり、一見マトモそうに見えることも多いのですが、実際には面倒くさいことが多いです。傷つくのが嫌だから、キツイ人を好まず、自分を傷つけない優しそうな人に近づいていきます。私はやたら外面が良いので、こういった人たちからとても慕われるのですが、私は彼らのことが嫌いです。

 

最近の若い人の中にこういった人増えていますよね。叱らない子育てや子供をお姫様や王子様のように扱う子育ての影響でしょうか。日本はこれからどうなるのでしょう。

 

 

本当は、山上容疑者がかわいそうかどうかなんてどうでもよいことなんです。他人の人生なんてわからない以上、この人はかわいそうで、この人はかわいそうじゃないなんて言ったところで何の意味もないですから。ただ、同情的な報道やわずかな情報をもとに感情移入する世論を見ていると、被害者の命や遺族の立場や気持ちが蔑ろにされているような気がしてならないんですよね。